ABD
この前、見た夢です。
ユメジキロクとはなんぞやという方はこちらへ。
★
こんな夢をみた。
私はゲームをしている。
チープな画面に映るのは、【A】と【B】という文字の選択肢だ。
【A】はまだ決定ボタンが押せない。
【B】を選択し決定ボタンを押すと、画面が暗転する。
ゲームが始まった。
【Bルート】
主人公はとある小さな村に住む男性。
幼い双子の息子と妻の4人でささやかに暮らしている。
主人公が、山へ山菜を取りに行くと洞穴で、悪魔たちがうごめいているのを偶然に見つけた。
悪魔たちは村を襲う計画について話し合っていたのだった。
主人公はあわてて村に戻り、悪魔が攻めてくると村人たちに伝える。
主人公と村人たちは力を合わせ、悪魔に対抗するための装備を整えていく。
そして、悪魔たちが活動できる満月の夜。
満を期して村に襲ってくる。
主人公は勇敢に戦い、悪魔を一匹残らず殺戮した。
避難していた愛する家族の元へ向かうと妻が叫ぶ。
「来ないで!!!!」
-- なぜ?
妻は幼い息子二人を庇うように主人公に立ち向かった。
主人公には分からない何故、妻は息子を庇っているのか。
「もう悪魔は退治したんだよ。大丈夫だから」
「何を言っているの!!」
「なにって・・・?」
主人公は自分の身体がどんどん熱くなるのを感じた。
「この悪魔!!村人を殺すなんて、なんてひどい・・・」
-- え?
-- 悪魔・・・?
次の瞬間、幼い息子達の泣き声が響き渡り、愛する妻にするどい爪痕が広がる。
そして息子達の声も聞こえなくなり、主人公は満月に照らされた自分の姿を見た。
角が生え、牙が光っていた。
着ていた洋服は所々やぶれ、血に染まっている。
持っていたはずの剣はなく、鋭い爪に挟まる村人の肉片。
主人公は山の洞穴で悪魔たちを見つけた時点で、悪魔に憑りつかれていたのだった。
敵と思っていた悪魔は村人であり、村を襲っていた悪魔は自分だったのだ。
-- Bad End --
★
再び最初の【A】と【B】の画面に映った。
私はなにかやり残したフラグでもあるのだろうかと思った。
私は再び【B】を選択しゲームを始める。
しかし、何度【B】を繰り返えしても【B】は終わらない。
私は一向にバッドエンドから抜け出せず、主人公の家族が殺されるシーンを見ていた。
もう殺戮され、主人公が悪魔だと気づくのがつらい。
そう感じていたとき、すると次の選択肢の画面に変化があった。
私は【D】を選択し、決定ボタンを押した。
【Dルート】
【D】は【B】の続きから始まった。
主人公が妻と息子達を殺した。
満月で照らされた自身の姿をみて、自分が悪魔だと気づく。
画面が暗くなる。新しい展開だ。
悪魔と化した主人公は岩で作られた牢獄のような場所にいた。
この場所にはガリガリに痩せた人間や、悪魔、キメラが閉じ込められている。
主人公の姿は、鬼の様な仮面をかぶり血まみれの服を着ていた。
画面右側に大きな犬の様なボロボロのくたびれた男が座っている。
彼に話しかける。
「モウ ココカラ ニゲダセナイ ・・・・」
「クチヲ ショウカキカンヲ ウバワレタ」
「オレノ モッテイタ タカラモノ アゲル ・・・・」
主人公は狼男から【エリンの実】を手に入れた。
画面左側を進むと、いかにもこの先に何かが待ち受けているようなステージに映った。
主人公はトラップを打ち破り先へ進む。
別のステージに映った。
そこはかわいらしく彩られた女の子の子供部屋だった。
大きなソファに座る黒髪の少女がいる。
主人公はいつの間にか人間に戻り、手に剣を持っていた。
黒髪の少女に向かって剣を振りかざす。
が、しかし黒髪の少女に触れることすらできず、主人公は殺されてしまった。
-- Necessary End --
★
私は最初に登場した主人公のあまりの変わり具合に恐怖を感じた。
このエンドを見ることになにか意味があるのだろうか。
次に画面に映るのは【A】という選択肢だけ。
私は【A】を選択し決定ボタンを押した。
【Aルート】
「いまはキノコが沢山とれるから山へ行ってくるよ」
主人公は自宅にて妻に話しかける。
主人公は山へ出かける前、何か違和感に気付く。
「のど乾いたし、泉にいくか」
主人公は山ではなく泉に向かった。
村の外れにある泉は村人たちがよく生活水として利用している。
泉まで向かう間、主人公の脳裏にある言葉が浮かぶ。
-- モウ ココカラ ニゲダセナイ ・・・・
低く太い声。
なんの言葉だろうか。
-- オレノ モッテイタ タカラモノ アゲル ・・・・
-- エリンノミ アクマヲ シリゾケル チカラガアル・・・・
泉にたどり着いた主人公はすべてを思い出した。
山の洞穴にいた悪魔を見つけたこと。
自分が悪魔になり何度も村人と家族を殺したこと。
悪魔に囚われて改造された男から、悪魔の力を無効化する【エリンの実】をもらったこと。
-- 俺は覚えている。何度も村人を殺し、最終的には悪魔に捕らえられ、殺された。エリンの実が必要だ。エリンの実はたしかこの泉の近くに実っているはず。
主人公はエリンの実を探し発見した。
持ってきた籠一杯にエリンの実を詰め、急いで村へ帰った。
主人公は村人を集め 熱心に語りかける。
「皆聞いてくれ!山の洞穴に悪魔が潜んでいた。村を襲う計画を立てている。悪魔は人に憑りつく。俺はエリンの実を持ってきた。エリンの実には悪魔の力を無効化する力がある。」
主人公の剣幕に村人たちは驚く。
村人の一人がおずおずと発言した。
「でもエリンの実は食べられないという掟があるんだよ」
「掟なんかこの際どうだっていいんだ!頼む、俺は一度悪魔に憑りつかれ皆を殺してしまった。恐ろしい体験を何度もしたんだ。なぜ俺がそれを思い出せたのか分からない。けれど信じてくれ!」
主人公は村人たちに深々と頭を下げる。
すると主人公の妻と双子の息子がエリンの実に手を伸ばし一口かじった。
「「うわーまずい」」
「ほんと、全然おいしくないわ。ほんとうはエリンの実は不味すぎて、食べられないなんて掟を作ったんじゃないの?」
妻と双子の息子はまずいまずいと言いながらエリンの実を完食した。
次第に村人たちもエリンの実を齧りだす。
まずいまずいと皆は口々に言った。
それでも村人全員、エリンの完食した。
そして来るべき時に備え、村人たちは来たる満月の夜に向けて装備を整えた。
主人公は内心恐れていた。
-- また俺が悪魔になっていたらどうしよう。
内なる恐怖を持つ主人公に村長が言った。
「もし、アンタの言う通り、今までのように悪魔になってしまったら私が責任もって撃ち殺す。アンタの妻と子供たちは私が守る。」
「はは・・・あんまり痛くないように殺してくださいね・・・」
そして、満月の夜、悪魔は襲ってきた。
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ついにハッピーエンドだ。
夢の中の私は感動し、さらに続きを見ようとした。
だが、私はいつも鳴らしている携帯のアラームで目が覚めてしまった。
目が覚めてから
自分が主人公になったり、ゲームのプレイヤーになったりした夢でした。
Dルートで主人公が悪魔化した姿が怖すぎて、夢の中で怖かったです。
主人公は結局どうなったのか分かりません。
ペイントの画力が上がりました。
おわり。